スーちゃん16歳、突然の体調不良…


3月31日の深夜、スーちゃんが急激な体調不良に見舞われました。

文字にしてしまえば「深夜に体調を崩した」というたった一行の出来事ですが、その渦中にいた私たち家族にとっては、一分一秒が永遠に感じられるほど、あまりに過酷で、あまりに絶望的な夜でした。

今回は、その緊迫した一晩の記録と、シニア犬と暮らす中で私たちが改めて突きつけられた教訓、そしてその後に起きた「完徹の連鎖」について詳しくお話ししたいと思います。



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突如として訪れた「生と死」の境界線

その夜、いつものようにスーちゃんと一緒に布団に入りました。 スーちゃんはもともと寝言が大きいタイプなので、最初に「クーン」と声を上げたときも、「ああ、またいつもの寝言だな」と軽く受け流し、そのまま眠りにつこうとしていたのです。

しかし、異変はすぐに起きました。スーちゃんがガサゴソと布団から這い出してきたのです。その動きが、どうにもおかしい。

暗闇の中で目を凝らすと、スーちゃんはこれまでに見たこともないような様子で、激しくジタバタともがいていました。呼吸は荒く、全身から「苦しい」という悲鳴が聞こえてくるような、そんな切迫した状態でした。

「もしかして、このまま死んでしまうんじゃないか?」

最悪の事態が頭をよぎり、全身の血の気が引くのを感じました。迷っている暇はないと判断し、眠っていた妻を叩き起こしました。それほどまでに、その場の空気は凍り付いていたのです。

鳴り響かない電話と、無力な夜

まずは何とか楽にしてあげようと、トイレに連れて行きましたが何も出ません。水を差し出しても、飲む気配すら見せません。ただひたすらに、お腹を抱えるようにして苦しみ続けている。おそらく、経験したことのないような激しい腹痛に襲われていたのでしょう。

時刻は午前1時。 私たちは必死に「24時間対応」の動物救急病院を検索しました。我が家には車がないため、移動手段は自転車に限られます。必死の捜索の末、自転車で行ける距離に、24時間対応を謳う病院を一軒だけ見つけました。

すぐに電話をかけました。しかし、聞こえてきたのは無機質な留守番電話の音声でした。「メッセージを入れていただければ折り返します」という案内。緊急対応中なのかもしれないと思い、藁にもすがる思いでメッセージを残しましたが……。

実は、その電話の折り返しは、3日経った今でも一度も来ていません。

頼れる場所がない。専門家の助けが得られない。深夜の静寂の中で、私はただ苦しむスーちゃんを抱きしめ、背中を撫で続けることしかできませんでした。

スーちゃんは何度も「ウッ、ウッ」と嗚咽を繰り返していました。もし吐き出すことができれば、少しは楽になれたのかもしれません。しかし、出てくるのはわずかな泡と、寝る前に飲んだ水が少しだけ。その苦しそうな姿を見守ることしかできない自分の無力さに、胸が締め付けられる思いでした。

家族の葛藤と、訪れた静寂

妻は、折り返しを待たずに直接病院へ連れて行くと言い張りました。 「あなたはその間、眠っていて。昨日だってほとんど寝ていないんでしょう?」と、私の体調を気遣ってくれたのです。

確かに、その前日の月曜夜も、夜間に活動的になるスーちゃんの対応で私はほぼ完徹状態でした。心身ともに限界に近い自覚はありました。

しかし、私の直感なのですが「今行っても病院は開いていない」と思っていました。電話に出ない状態で闇雲に夜道を走るリスクを考え、私は「呼吸が少し落ち着くまで様子を見よう」と提案しました。

抱っこを続けているうちに、スーちゃんのハアハアという荒い息が、少しずつ、少しずつ穏やかになっていきました。やがてスーちゃんはウトウトとまどろみ始めました。激痛のピークが過ぎ、体力が尽きて眠りに落ちたのかもしれません。その寝顔を見ながら、私たちはようやく少しだけ、安堵の息を漏らすことができました。


翌朝、判明した意外な原因

翌朝、一番の診察時間に合わせて、かかりつけの動物病院へ駆け込みました。 昨夜の食事内容、苦しみ方の詳細、嘔吐の様子。先生にすべてを説明しようと意気込んでいたのですが……。

当のスーちゃんは、病院に着く頃にはすっかり体力を回復。 待合室ではいつものように元気に「誰か助けてください!!」と大騒ぎ。先生からも「これだけ元気なら大丈夫でしょう」という診断をいただきました。

結局、原因として考えられるのは「食べ過ぎによる消化不良」でした。

実はその日の夜、私の帰宅前に息子がチュールを2本あげてくれていました。その後、帰宅した私が、いつものココグルメを1パック与えたのですが、あまりに食いつきが良かったため、普段は2回に分けるところを、ついつい残りの半分もすぐに与えてしまったのです。

「シニア犬なのだから、もっと消化に気を使わなければならない」

そんな当たり前のことが、疲れ果てていた私の頭から抜け落ちていました。私の不注意が、スーちゃんに死ぬほどの苦しみを与えてしまった。その事実に、激しい後悔と申し訳なさが込み上げました。


「完徹3連日」の代償

病院から帰宅した後、スーちゃんには「丸一日の絶食」という試練が待っていました。 お腹が空っぽになれば当然、元気を取り戻したスーちゃんは黙っていません。「お腹が空いた!何かくれ!」と。

翌晩も、その翌々晩も、深夜にスーちゃんの大合唱が響き渡りました。 月曜日の完徹に始まり、火曜日の緊急事態、そして水・木のお腹空いたアピール。 気がつけば、私は3日間連続でまともに眠らない「完全徹夜」の状態に追い込まれていました。

シニア犬との暮らしは、尊く、愛おしいものです。しかし、現実は甘くありません。夜泣きや体調不良への対応は、飼い主の肉体を確実に削っていきます。そしてついに、限界が訪れました。木曜日の日中、仕事をしている最中に、私の意識は途切れ、その場に倒れ込んでしまったのです。


記録に残した現実と、自分への戒め

今回の動画は、わずか2分足らずの短いものです。 映っているのは、深夜の騒動が少し落ち着き、ハアハアと肩で息をしながらグロッキーになっているスーちゃんの姿だけ。本当はもっと壮絶な、生きた心地のしない場面もありましたが、そんな時にカメラを回す余裕など一秒もありませんでした。

この動画を見返すたびに、私はあの夜の自分の至らなさを突きつけられる思いがします。

今回、自分が骨身に染みて学んだことは以下の3点です。

  • 「いつもの量」が適量ではないこと 16歳のシニア犬にとって、胃腸の負担は日によって、あるいは数時間単位で変わります。「食いつきが良いから」という人間の主観で食事を増やすことが、これほどまでの激痛を招くという現実を思い知りました。
  • 「24時間対応」の看板を過信しないこと いざという時、ネットの情報や看板だけでは命は守れない。電話が繋がらない、折り返しも来ないという事態を想定し、複数のバックアッププラン(移動手段の確保も含め)を平時からシミュレーションしておく重要性を痛感しました。
  • 飼い主の限界は、ある日突然訪れること 「少しくらい寝なくても大丈夫」という過信が、結果として仕事中に倒れるという最悪の形で露呈しました。私が倒れてしまえば、スーちゃんの異変に気付く人間が一人減ってしまいます。犬を守るためには、まず自分が健全な判断力を保つための休息を確保しなければならないと学びました。

スーちゃんは今、すっかり元気に、またいつものように私の布団を占領しています。 あの夜の恐怖は二度と味わいたくありませんが、この「完徹の代償」として得た教訓を忘れず、より一層スーちゃんの健康管理と、自分自身の体調管理に気を配っていこうと心に誓いました。

愛犬との時間は、無限ではありません。その一分一秒を、後悔のないように過ごしていくために。