後悔

これまでの私の人生は、失敗の連続でした。けれどその一つひとつが、巡り巡ってロンスーとの出会いに繋がっていたのだと、今ではそう思えるのです。

しかしながら、後悔している出来事もあります。

ロンを迎える半年前、実は別の犬を迎え、わずか1日でギブアップしてしまった経験があります。きっかけは知人からのひと言でした。「ペットショップで売れ残っているパグを引き取ってもらえないか」という話です。無駄に強気だった当時の私は、一度会いに行っただけで「なんとかなる」とその子を連れて帰ってしまいました。

生後半年を過ぎたそのパグは、くるんとしたしっぽを揺らしながら元気に動き回っていて、少し皮膚炎がある以外はとても愛らしい男の子でした。トイレトレーニングも済んでいて、家に着いてすぐ、用意していたケージに入り、そのまま眠ってくれました。

「なんてお利口な子なんだろう」と、あのときは本当に嬉しかったのを覚えています。

けれど、それは一瞬の出来事でした。

夜になると、彼は突然、野太い声で吠えはじめ、極度の分離不安からか一晩中泣き続けました。私は眠ることもできず、途方に暮れました。環境の変化に耐えきれず、ケージの中で暴れ、どこか心ここにあらずという目をしていました。目が合っているようで、どこにもつながっていない――そんな印象を受けたのです。

それは、今一緒に暮らしているスーちゃんの分離不安とは比べものにならないほどの激しさで、私にとっては想像を超えるものでした。けれど、それは決してその子のせいではありませんでした。ペットショップという限られた空間で育ち、心の土台をつくる大切な時期を過ごしたその子にとって、突然の環境変化や人との関わりは、あまりにも大きなストレスだったのだと思います。彼はただ、どうしていいかわからなかっただけなのです。

私は泣きました。そして、自分の甘さ、浅はかさを痛感しました。

翌朝、ペットショップに謝罪の連絡をし、どうしても手に負えない旨を伝えて戻すことにしました。お店の方の対応は「ああ、やっぱり」というもので、過去にも同じような経緯をたどっていたことがある犬だったと知らされました。

ペットショップに着くと、その子は嬉しそうにしっぽをブンブンと振り、まっすぐにバックヤードへ駆けていきました。私の腕の中では一晩泣き続けたその子が、まるで帰るべき場所に戻ったような表情で――私はただ、涙を流すことしかできませんでした。

その後、どうしても彼のことが気になり、何度か知人に連絡を取りました。数ヶ月後、彼は静岡の広い庭のあるお宅に迎え入れられたと聞きました。写真も見せてもらい、安心したのを覚えています。そのご家庭は代々パグを飼っていて、経験も豊富だったそうです。やっと、その子にふさわしい居場所が見つかったと感じました。

その子の名前は「ラブ」くん。けれど、我が家で過ごしたたった一日のあいだ、私は彼を「ロン」と呼んでいました。

半年後、本当の「ロン」との出会いが待っていました。今度はチワワ。そして私は、あの日の後悔を繰り返さないために、必死に勉強を始めることになるのです。





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